Tower of Fantasy
リューロはサーラの体がぐらりと傾いたのを見、彼女の体が椅子からずり落ちていくのをほとんど反射で受け止めた。

サーラの手からグラスが滑り、床に落ちてガシャンと音を立てて割れたとき、やっと我に帰った。


「–––サーラ!おい!どうしたんだ?!」


顔がほんのり赤いあたり死んではないようだし、息もしている。なのに深い眠りについているようだった。


「…おい!サーラに何したんだ?!」


リューロはマゼルダを怒鳴りつけた。

だが、マゼルダもリューロとおなじくらいパニックを起こしていた。


「サーラちゃん!なにが起こったんだい…」


そんな中冷静だったのは、マゼルダに立たされた男とその仲間の男。


「これ、この子が飲んだのカクテルだろ?」


「カクテルをこんなおっきいグラスに入れるマゼルダもおかしいけどなぁ」


「なんで一気飲みしたんだ?」


ここまで聞いてマゼルダは理解した。


「あ…酔っちゃったのかい」


しかし、リューロは理解していなかった。


「何のことだよ、サーラになにがあったんだよ?!」


「…お前、酒しらねぇの?」


「…あ。そゆことか」


やっと理解したリューロは少しため息をついた。


「…こいつ、酒飲んだことないんだよ…お嬢様だったから…」


「…サーラちゃん何歳だい?」


「16」


「普通に飲む年だねぇ」


ちなみに、この世界は15になったら酒を飲んでいいのだ。


「…まぁ、とりあえずこいつ寝かせますんで…グラスの代金は?」


「あたしが悪いんだし、いらないよ」


「…ありがとう」


リューロはサーラをおぶってギルドを出た。
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