Tower of Fantasy
「真っ赤だったな、サーラ」


可笑しそうにケタケタ笑っているリューロに冷たい目線を投げかけてから、アレフはルイスの方を向いた。


「ありがとう、ルイス。これで…サーラは自由でいられる。君は、よかったのかい?」


「ええ…俺、その…サーラのこと、半年以上前から…好き、でしたから…」


顔を赤くしながらしどろもどろに言っているルイスを微笑みながら見つめていたアレフは、彼なら娘を幸せにしてくれるだろうと思った。

しかし、納得はしていなかった。

それは、リューロのこと。

彼は、10年以上前からサーラのことが好きで、ずっと側にいた。なのに–––こんなにあっさり譲っていいのか、と。

確かに家柄で言えば、リューロはサーラの婿になれない。でも–––、


「…リューロ?君はいいのか?」


「–––何のこと?どったの?師匠」


–––とぼける気だな、でもルイスの前ではこれ以上言わないでおこう。


アレフはため息をついて、椅子から立ち上がった。


「じゃあ、僕はサーラのおばあさまにさっきのことを報告してくるよ。ビルフィセル家の次男坊がサリスティーにプロポーズしたって」


「まー、それでなんとかなるだろ」


リューロはソファーに横になりながら言った。
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