Tower of Fantasy
「…アクア」


「なんだ?」


「やっぱりいた」


「当たり前だろう。ものすごい魔力の波動を感じたから飛んできた」


ルイスは魔力を使い果たして倒れたサーラとアレフを見つめた。


「…焦らなくていいと思う。ルイスにはルイスの速度がある。サーラの成長速度は…異常」


呟くように言ったアクアを振り向き、ルイスはやっぱ年上だなと苦笑いした。


「アクア」


「ん?」


「俺、サーラより強くなれる?」


「それは無理だな。サーラの戦闘能力はずば抜けている。ルイスがいくら努力しても、サーラより強くなれない」


「だよな…」


「だが、サーラにはできないことができる」


首を傾げたルイスに、アクアは少し微笑みながら続けた。


「ダンジョンに潜ったとき、ルイスがいなかったら生きて出られなかったぞ」


数々の複雑なトラップを全て暴き、サーラと私を守ったではないか。

そう言外に告げられた言葉に、ルイスは微笑んだ。


「そうだな。俺は俺だもんな」


「ああ。何を悩んでいた?」


「ははっ…なーんにも」


明るく笑ったルイスを見て安心したアクアは、浮遊魔法でサーラとアレフを持ち上げ、屋敷に帰っていった。

ルイスは木に頭をぶつけて気絶しているリューロをたたき起こし、サーラとアレフの決闘で吹き飛んだ木を元どおりに直そうと奮闘した。



…結果、どうにもならず一部に集めておいた。



後日、木こりが仕事が減って喜んだそうだ。
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