Tower of Fantasy
滅びた隣国へ続く森の中。

サーラたちは地面に降り立った。


「わぁ……塔がとても近い……」


呪われた姫の塔が、今まで見た中で1番大きく見えた。


「サーラ、気をつけろ。モンスターが近いぞ」


モンスターの気配に敏感なルイスが小さい声で言った。


「サーラ。私が片付けようか?」


「いいえ、ちょうどいいわ。リハビリする」


「そうか」


「ルイス、斬り漏らしの処理はよろしく。アクアは魔力回復と温存を」


「「了解」」


「グアアァァァァァ…」


モンスターの唸り声。


「…囲まれてるわね」


100以上のフォレストミノタウルス。

通常の冒険者なら生を諦めてしまうほどの逆境。

しかしサーラたちは。


「予定変更。ルイスはアクアについていて。アクアはルイスに守られていて。私1人でいい」


「「了解」」


ルイスはすらっと刀を抜く。


アクアは目を閉じて魔力回復を急いだ。


「…行くよ」


サーラはフォレストミノタウルスの群れの中にロングソードを抜かずに突っ込んだ。
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