したたかな彼女
「一人でも大丈夫だよ。 いざとなったら私も家に戻るから」
「でも・・・」
しかし志保は、色々な意味で内心ほっとする。
「しーほ」
まりえは志保の落ち込んだ肩に手を回してきた。
「離れたって、私たちは友達でしょ?」
その言葉に、志保は思わず涙をこぼしそうになる。
急に淋しさが心に舞い込んできたんだ。
楽しかった日々。
終わらせたくない日々。
本当は抜け出したかったこの日々。
「うん・・・。 ありがとう」
“イイ子だ。 なんてイイ子なんだろう”。
そう志保はまりえに対して思っている反面、
本当のところはどうなんだろうとも思った。
志保がそう思う理由は、三ヶ月ほど前にさかのぼる。