したたかな彼女
同級生
その日、志保は仕事で、まりえは休みだった。
ぽかぽかと陽気な天気は、心地よすぎてやる気をなくす。
―暇だな―
遊ぶ相手もおらず、暇なまりえは一人、家でごろごろ硬い床の上に転がっていた。
携帯電話をいじったり、目をつむったり。
何もせずにぼうとしていると、砂利の駐車場に入ってくる車の音が聴こえた。
「・・・」
車のドアをあけ、閉める音。
そして男の声。
まりえはベランダに近づき、外の声に耳を傾ける。
「3階の右端」
芳樹の声だ。
まりえはレースの白いカーテンを少しあけ、こっそり窓の外の駐車場を見下ろした。