したたかな彼女
志保が知らない芳樹の情報を、まりえは本人から聞いて知っていたりする。
「芳樹さんがべらべら喋ってくるんだもん」
とそっけなく無表情でまりえは言うが、どこか優越感にひたっている。
―芳樹さんはぜったいまりえちゃんが好きなんだ。 絶対そうだ。 だってこんなにも明るくてかわいいんだもん。 ぜったいいいとか思ってるよ―
まりえに対する嫉妬は、志保を醜い奴に変えていく。
でも心の奥底から必死にそれを隠していた。
だって表に出しちゃったら、みんなにも醜い奴だとバレてしまうから。
志保は夜中、ベッドのなかで暗闇の天井を見つめる。
じんわり目に涙が溢れてきた。
―どうしたらいいの?―