したたかな彼女
しばらくして、車の走行音と駐車場の砂利道に入る音がした。
「あ! 芳樹さんかな?」
まりえは立ち上がってベランダから外を見下ろした。
やはりそうだ。
「帰ってきたよ」
「わーい、楽しみ」
次にまりえは玄関へいって、ドアを開けた。
芳樹が来るのを待っている。
(なんでそんなにはしゃいでるのよ)
志保はまりえの行動にむかっとした。
しかし階段を上る音が聞こえると、このままではまりえに芳樹を取られると思い、志保も走ってまりえの背中にくっついた。
「お帰り!」
二人は芳樹に手を振った。
突然のことで驚いた芳樹の顔は、ほとんど目が寝ている。
「おはよう、ただいま」
「眠そう、大丈夫?」。 とまりえ。
「大丈夫」
「寝たほうがいいんじゃない?」。 と志保。
「ううん。 寝ると絶対起きれないから。12時くらいに家に来てくれる?」
「うん、わかったよ」
芳樹と先頭きって話していたのはまりえばかり。
志保はお昼が楽しみのようで少し恐かった。