したたかな彼女
「おまたせ」
芳樹がオムライスを持ってきた。
彼の作ったオムライスは、チキンライスを包みこむたまごの中身がふんわりしていて、口の中でとろけた。
トマトケチャップとライスとたまごの絡み具合がいい。
「おいしい! すごい! お金はらってもいいよ!」
まりえはそう喜んだ。
「だろ?」
芳樹は照れくさそうに威張った。
眠たくてずっと笑っている芳樹がかわいいと志保は思う。
「今度作り方教えてよ~!」
「企業秘密だよ」
まりえはかわいい。
人と接するのが上手だと思う。
さっきから志保は心の中で色々と考えているだけだ。
彼女が話題に入れないのは、二人の会話にイライラするからだ。
結局それが悪循環なのかもしれないけど、どうしても“おししい”以外は話せないでいた。