したたかな彼女

「あ、そうだ」

芳樹はまりえと話している途中に「他にもイイものあるよ」と立ち上がり、食べ終わった三人分の食器を持ってキッチンへ行った。
そして戻ってくる時にはくるみ入りのチョコパウンドケーキを持ってきてくれた。



「おいしそ~!」

それぞれ志保とまりえは喜ぶ。

芳樹はケーキを切り分け、お皿に乗せ、生クリームできれいに飾り付けした。



「志保ちゃんが食べそびれたやつ」

そういって志保にケーキをくれた。
それは志保が食べる前に、芳樹が仕事を辞めたから食べに行ってなかったものだ。

彼なりに、ぼうとしていた自分に気を使ってくれていたのかなんなのかは分からないけど、
自分が食べたいと言っていたものを作ってくれていたことが嬉しかった。



「ありが・・・」


「すごい! マジ感動だよこれ!」

志保がお礼をした最中にもまりえは口出しした。



「そうだろ?」

芳樹はまたまりえと話し出す。

妨害されて志保は悲しみでいっぱい。



―酷い―



彼女が悲しいのは、芳樹を取る取られるの問題ではなかった。
なぜまりえはこんな態度をとれるのかが分からないんだ。


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