したたかな彼女
結局その日は芳樹がとても眠そうだったので、三時過ぎには家に戻った。
そしてタイミングよく、まりえの携帯電話に彼女の友達から連絡がきて、すぐに遊びに行ってしまった。
もちろん志保には誰からの連絡も無い。
自分からもしない。
ただうずくまって床に転がり、目をつぶる。
―まりえちゃんは自分といるときよりも、芳樹さんといる方が断然たのしそう・・・―
独りで暗い事考えていると、今にもノイローゼになってしまいそうだ。
毎日こんな生活おくっていたら、主婦がうつ病になるのも無理は無い。
でも止まらない。
―いったいまりえちゃんは何を考えているんだろう―
まりえは志保を妹のように可愛がっている。 コレは事実だ。
―まりえは芳樹さんが好きなんだろうか―
志保は目を開け、壁を見つめた。
“壁の向こうには芳樹さんがいて、彼が目を覚ませば私に会いにくるの”
そんなこと考えている自分が虚しい。 強く目をつむった。
―会ってどうするのよ?―