したたかな彼女

カランカラン♪


はげた白色のドアを開ければベルが動いて音が鳴る。
「いらっしゃいませ」と誰かが言った。
落ち着いた天井の高い店内には、店の半分は人が入っている。


「かわいいね」


と、なぜか小声のまりえ。
志保はうれしくてテレ笑いをした。



席に座るまでに、志保はキッチンを覗いた。
入りこんだ造りの厨房は覗くことができない。



「私、このダブルベリーのクリームチーズパイ(アイス添え)にする。 期間限定の最新だって言ってた」と志保。


「うまそ~! 私はねぇ~・・・うーん・・・」


まりえはメニュー表とにらめっこした。
しばらくして、やっと勝負が終わる。


「このチョコスフレ(生クリームとアイス添え)にする!」

「よし」


志保はメニュー表を閉じて店員を呼んだ。


「すみません、チョコスフレとダブルベリーのクリームチーズパイ下さい」


その間、まりえは店内を見渡す。


「かわいいなぁ」

そして志保を見る。


「しかも全部美味しそうで迷っちゃった♪」

「アイス添えなんてしらなかった。 いつも持ち帰りだったからさ」

「芳樹さんは?」

「うーん・・・。 奥にいるからわからない」

「そっか~・・・」

「今日、来るってことはしってるよ」

「そうなんだ~」


たわいも無い話を二人はしながら、デザートを待った。


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