したたかな彼女
夜になり、まりえが仕事から帰宅した。
「・・・」
部屋の中は妙に静かな感じがする。
玄関の電気をつけて、まず志保の使っていた部屋を見た。
何もない。 殺風景な場。 ただ床の真ん中に紙が落ちていた。
まりえはそれを拾い、中身をみた。
『まりえちゃんへ。 今までありがとう。 志保』
志保からのメッセージ。
まりえの中で、突然の孤独さが染み出てきた。
―ありがとう志保ちゃん―
昼間、まりえの携帯電話に志保からメールが入っていた。
“また遊ぼうね。 じゃあね”
まりえへの二つのメッセージ。
罪悪感か、大切なものがかけたからなのか。
心がとても苦しい。