したたかな彼女
三人はその後、一緒に帰った。
まりえは少し遠慮しながら。
「まりえちゃんは器用なんだよ。 私にミサンガを作ってくれたんだ。 アクセサリー屋で働いてるの」
志保は喜んで、まりえが編んでくれた左手首につけているミサンガを芳樹に見せびらかした。
「ミサンガなんて編むだけだよ」
と、まりえはつぶやく。
志保が気を使って声をかけても、まりえは一歩譲ってあまり話題には入ろうとしなかった。
入る余地のない二人の空気に、志保だけの片思いではなく、まりえは二人が両思いであることを知った。
「でもうれしかったの、私願い事したよ」
芳樹はその二人の会話を聞いていて、志保がかわいいと思った。
「よかったね」
「うん!」
そんな無邪気な志保に、芳樹は少し気後れしてしまう部分もあった。
だけど気遣い上手な志保がなによりも魅力に感じた。