カワイイ子猫のつくり方
先日、ミコがカラスに襲われていた日。
体育の授業中だった為、とりあえずミコをジャージのポケットに突っ込んでおくと、ミコはそのまま眠ってしまっていた。
着替える際に制服のブレザーのポケットへと入れ替え、午後の授業までもそのまま受けていたのだが、余程疲れていたのかミコは放課後までずっと眠り続けたままだった。
そして、放課後。
帰り途中の廊下で目覚めたアイツは、暫くは大人しくポケットから周囲の様子を伺っていたが、何を思ったか突然飛び出すと途端に何かを目指すように駆け出した。
慌てて後を追い掛けると、アイツは昇降口で立ち止まっていた。
幸いにも周囲に人はなく、誰に見られることもなかったのだが、ミコはじっとある一点を見つめて止まっていて。
(…そこに何かあるのか?)
不思議に思いながら傍へと近付いてみると、ミコが立ち止まっていた場所は、偶然にも辻原の下駄箱の前だったのだ。
僅かに高い位置にある、その下駄箱を見上げている…ように見えた。
(もしかして、辻原のことが気になるのか?)
流石に有り得ないとは思いながらも、俺は思わず言葉を口にしていた。
「辻原ならいないぞ。今日は休みだ」
すると。
まるでその言葉が通じたかのように、ミコは静かにこちらを見上げてきた。
その、どこか落胆したような寂しげな瞳に。
俺はただ「帰るぞ」とアイツに手を差し伸べることしか出来なかった。
体育の授業中だった為、とりあえずミコをジャージのポケットに突っ込んでおくと、ミコはそのまま眠ってしまっていた。
着替える際に制服のブレザーのポケットへと入れ替え、午後の授業までもそのまま受けていたのだが、余程疲れていたのかミコは放課後までずっと眠り続けたままだった。
そして、放課後。
帰り途中の廊下で目覚めたアイツは、暫くは大人しくポケットから周囲の様子を伺っていたが、何を思ったか突然飛び出すと途端に何かを目指すように駆け出した。
慌てて後を追い掛けると、アイツは昇降口で立ち止まっていた。
幸いにも周囲に人はなく、誰に見られることもなかったのだが、ミコはじっとある一点を見つめて止まっていて。
(…そこに何かあるのか?)
不思議に思いながら傍へと近付いてみると、ミコが立ち止まっていた場所は、偶然にも辻原の下駄箱の前だったのだ。
僅かに高い位置にある、その下駄箱を見上げている…ように見えた。
(もしかして、辻原のことが気になるのか?)
流石に有り得ないとは思いながらも、俺は思わず言葉を口にしていた。
「辻原ならいないぞ。今日は休みだ」
すると。
まるでその言葉が通じたかのように、ミコは静かにこちらを見上げてきた。
その、どこか落胆したような寂しげな瞳に。
俺はただ「帰るぞ」とアイツに手を差し伸べることしか出来なかった。