カワイイ子猫のつくり方
どうやら、四階から上が入院病棟になっているらしい。

(えーと、今いるのが二階だから…。あれ?でも、この病院って何階まであったっけ?えーと…六階か。ってことは、四階から六階までが全部入院病棟ってことっ!?)

それこそ、片っ端から探すなんて到底無理な部屋数なのではないだろうか。

(うーん…どうしようかな。とりあえず上がってみる?)

奥の方に見えている階段に目をやる。

表立った場所にエレベーターが数台設置されているので、端にある階段を使う者はあまりいないようだった。人通りもなく静まり返っている。

(でも、いざ人が来ちゃったら隠れる所もないよね。危険かな…?)

そんなことを考えながら、何気なく視線を横に向けた時だった。

飲み物の自動販売機の前に見知った後ろ姿を見つけた。


(え…。あれって、もしかして…。たける??)


ガシャン…という音と共に出てきたペットボトルを屈んで取り出し、振り返ったその顔は自分の良く知る弟のそれであった。


(何で武瑠がこんな所にっ?)


というか、この状況では明らかに自分のお見舞いに来てくれたに違いないのだが。

(武瑠がわざわざ来てくれるなんて…。意外に良いトコあるんじゃん♪)

二本の飲み物を購入後、一旦エレベーターホールへと足を向けたが混み合っていたのか、こちらへ向きを変えて歩いて来る。


これは、大きなチャンスだ。

(後をついて行くしかないよね)
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