カワイイ子猫のつくり方
(こんな風に感じるってことは、猫ちゃんの方にだって何かしら届いているのかも…)

それに気が付いて運よく目覚めてくれたら良いな…などと都合の良いことを考えていた、その時だった。



『ミコちゃん、みーつけた』



突然、頭上から声がした。

『…えっ?』

慌てて見上げると、すぐ目の前に女性が立っていた。だが…。

(だ…誰?)

見たこともない、知らない顔。

整った顔立ちをした綺麗な女性で、驚き戸惑っている実琴を見下ろして穏やかな微笑みを浮かべている。


(何で…?今、ミコって言った??)


何故、自分(猫)の名前を知っているのか。

実琴の中では、ここで人に見つかってしまったという事実と、目の前の謎の人物の突然の登場に混乱と焦りとが綯い交ぜになっていた。

何よりも、この女性に対しての違和感がどうしても拭えない。


(こんなにすぐ目の前にいるのに、声を掛けられるまで全く気付かなかった。それに…)


最大の疑問。それは…。



(なんで…っ何で…この人、足がないの~~~~っ?!)



そんな実琴の心の叫びが聞こえたのか、はたまた自分の足元を見つめて戦慄いている実琴の言わんとしていることを理解したのか、思わず声を上げそうになった実琴の口元を『シーッ』…というように押さえ込むと、彼女は笑って言った。

『ふふふ…驚かしちゃってごめんなさいね。別に悪霊とかの類ではないから安心して』
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