カワイイ子猫のつくり方
――どれ位、眠っていたのだろう。
気が付くと、朝霧の部屋にいた。
ここ数日で見慣れた部屋の天井が見える。
寝心地が良かったのは、寝床の籠の中で眠っていたせいなのだと気付いた。
(朝霧が連れ帰って寝かせてくれたんだ…)
身体の怠さは、もうなくなっていた。すっかり回復したようだ。
実琴は、もぞもぞと動き出すと籠の外の様子を眺めるべく、ひょいと顔を出した。
(…わ…)
顔を出してみて驚いた。
すぐ目の前に、朝霧の寝顔があったのだ。
自分が入っていた籠は机の上へと置かれていたようで、朝霧は目の前の椅子に座り頬杖をついたまま居眠っていた。
(朝霧も居眠りなんてするんだね。疲れちゃったのかな…)
実琴は籠から出て傍まで寄ると、そっとその寝顔を見上げた。
端正な顔立ちの、綺麗な寝顔。
(睫毛、結構長いんだ…)
普段掛けている眼鏡は今は机の上に折りたたんで置いてあり、普段の朝霧とは随分と違った印象だった。
何か調べ物でもしていたのか、ノートパソコンが開かれたままになっている。
実琴は、そのパソコンの前へと回り込むと、すぐ傍に置いてあった朝霧の手にそっと自分の手を添えた。
起こさないように、そっと…。
そしてその場で項垂れると、心の中で謝罪の言葉を口にした。
(今日はごめんね…朝霧…。本当に迷惑かけた…)
朝から自分のことで散々迷惑を掛けてしまった自覚は流石にある。