カワイイ子猫のつくり方
今頃、自分の身体はどうなっているんだろう、とか。

あのネコちゃんは無事なんだろうか、とか。

考えても、考えても、答えが出る訳はなくて。


(そもそも、何でこんなことが起きたの?)


ただ、ネコちゃんを助けようと思って木に登った。


(そうしたら、強い風が吹いて…)


バランスを崩して落ちた。

本当に、それだけ。


(それだけで、どうしてこんなことになるの…?)


人と猫の中身が入れ替わるなんて話、聞いたことがない。

そもそも、ちゃんと入れ替わっているのかどうかさえ曖昧なのだ。


(私が猫になってるからって、私の身体にネコちゃんが入っているとは限らない…。でも、そうなるとネコちゃんはどこに?それに私の身体の方は…)


事態はもっと最悪なものになるのでは…?



怖い考えが浮かんで、それを打ち消すように実琴は頭をぷるぷると振った。

すると、また首元で鈴がチリリ…と小さく鳴り、その音にハッとする。

(朝霧を起こしちゃ可哀想だ…。さっき寝たばかりなんだから…)

朝霧は遅くまで勉強をしていて、ベッドに入ったのは日付が変わってからだった。

(普段スカしてるけど、意外に努力家なんだね…。知らなかったよ)

自分ならテスト前とかでない限りは、そんなに遅くまで勉強したりしないのに。
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