カワイイ子猫のつくり方
そんなことを何故わざわざ自分に報告するのか疑問に思い、尋ねると。

「朝霧は一応目撃者兼、第一発見者だからな」

担任は神妙な面持ちを浮かべて言った。


（そういう問題だろうか）

一人教室へと向かいながら朝霧は思う。


確かに、辻原がどうなったか気にしていなかったと言えば嘘になる。

だが『回復した』という報告ならまだしも、実際にそれを聞かされたところで後味が悪いだけだ。


気を失ったまま倒れていた昨日の実琴の姿を思い浮かべて、朝霧は小さく舌打ちをした。

何故だか分からないが、イラついていた。

教室へと入ると、クラスメイトたちの中でも既に実琴のことが話題になっていた。

昨日、あの野次馬の中で見ていた生徒もいたのだろう。

心配気に話す者も勿論いるのだが、興味や冷やかし半分で話題にしてる者も少なくない感じだ。

そんな輩を横目に、朝霧は静かに自分の席へと着いた。

その時…。


「よぉ！朝霧！お前昨日の放課後さぁ、辻原の傍にずっとついてたじゃん？あれって何で？アイツと何かあったのか？」

調子乗りのクラスメイトが揶揄い半分で聞いてきた。

そのあまりのくだらない勘ぐりに朝霧がギロリと視線を投げると、途端にその男はびくりと身を引いた。

「そんなことを聞いて…そこにお前に有益な情報が少しでもあると思うのか？」

その冷たい視線に、周辺の温度が下がっていく。
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