幸姫



 「…私を拉致ってどうする気よ?」


 「意地悪な言い方だな…(笑)まぁ、とりあえず魔法界に連れて行く。色々とあって、姫さんを保護しなくてはならなくなった」


 「意味わかんないし」


 「それと……王様のご様態が良くないんだ」


 そう言った秋夜さんの声は元気がなかった

 「王様って、魔法界の??」

 「あぁ。王様はお前のお父さんだ」


 ………私の、お父さん…???


 え、どうゆう事


 頭が追いつかない


 「私は施設の前に置き去りにされた子で…生まれも育ちもこの世界よ」

 両親は私を捨てた

 だから施設にいる

 ずっとそう思いながら過ごしてきた


 「お前は元は魔法界の人だ」

 「何言って…」

 「お前は…魔法界の姫なんだ」


 秋夜さんの顔は前を向いていて見えなかったけど、声は必死そのものだった

 でも、いきなりそんなこと言われても、信じれるはずない…

 今までずっとこの世界で過ごしてきたんだから


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