幸姫
秋夜さんのほうきは、まるでその扉に吸い込まれるかのように入っていった
扉の奥には私が想像したことのないような世界が広がっていた
「何これ……っ」
宙にはほうきで空を飛ぶ人達がおり、事故を起こさないようにと、警備員の人もいる
まるで宙なのに、道路のような感じ
信号機まである
「俺らもあの列に並ぶぞ」
後ろからついて来ていた拓海に一声かけると、入れそうな隙間から列へ割り込んだ
「ねぇ、この世界と私の居た世界って時間や日の感覚も同じなの?」
「あぁ。あまり変わらねぇな。向こうとコチラは世界は違えど空気感は同じ。人間界が朝なら、魔法界も朝。向こうが夜なら、ここも夜ってわけさ」
「…だからなのね」
辺りが真っ暗な事に納得した
人間界が夜だったから、ここも暗かったんだ
空気感が一緒という事は、時間も一緒という事よね?
それだと、今は大体二十時ぐらい?
ボーッと考えているうちに
「もうすぐで着くぞ」
私が連れて来られた、理由が隠された場所に到着した
とても大きくて、立派で
それは、まるでどこかの外国の映画かのようなお城だった