幸姫



 秋夜さんのほうきは、まるでその扉に吸い込まれるかのように入っていった


 扉の奥には私が想像したことのないような世界が広がっていた


 「何これ……っ」

 宙にはほうきで空を飛ぶ人達がおり、事故を起こさないようにと、警備員の人もいる

 
 まるで宙なのに、道路のような感じ


 信号機まである


 「俺らもあの列に並ぶぞ」


 後ろからついて来ていた拓海に一声かけると、入れそうな隙間から列へ割り込んだ


 「ねぇ、この世界と私の居た世界って時間や日の感覚も同じなの?」

  「あぁ。あまり変わらねぇな。向こうとコチラは世界は違えど空気感は同じ。人間界が朝なら、魔法界も朝。向こうが夜なら、ここも夜ってわけさ」


 「…だからなのね」


 辺りが真っ暗な事に納得した

 人間界が夜だったから、ここも暗かったんだ


 空気感が一緒という事は、時間も一緒という事よね?

 それだと、今は大体二十時ぐらい?

 ボーッと考えているうちに

 「もうすぐで着くぞ」

 私が連れて来られた、理由が隠された場所に到着した


 とても大きくて、立派で

 それは、まるでどこかの外国の映画かのようなお城だった


< 17 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop