幸姫


 ある日、王様は深刻そうな顔をしていた事に気づいた俺は声をかけた

 「どうしたんですか?」

 今思えば、子供だから躊躇わずに声をかけきったのだろうなと思う

 今だったら空気を読んで無理だったと思う


 まぁ、そうすると王様は何か一瞬考えたかのように間を置き、その後に静かに俺に向けてこう言った


 「………いずれはバレるだろうとは思っていた」

 「???何がですか?」

 「落ち着いて聞いてくれないか?そして、これを聞いても今まで通りマリアと接してはくれないか?」   

 王様のその言葉は何なやら謎めいたものを感じた

 が、俺は迷うことなく


 「マリアはマリアです。何があってもそれは変わることはありません。俺はマリアの味方です」 

 と答えた

すると王様は安心したような、嬉しそうな顔で『そうか…』と呟いた後、真実を教えてくれた

 その真実を知ったのは俺が四歳の頃だった


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