彼女と彼らの6ヶ月の物語
少し、いや、かなり緊張しながら重厚感のある1枚目の自動ドアをくぐり"1801"のインターフォンを押した。
――――――――――――ピンポーン
と、機械的な音が響いてから暫くすると
低く少し、かすれた声で
「…誰だ。」
と、応答があった。
さっき言われたことを言うと、返事は無かったけど2枚のドアが開いた。
「言われた通りⅢのエレベーターに乗り、暫くすると18階のエレベーターホールに到着した。」
セキュリティの問題なのか何台かあるエレベーターのうちで乗れるものは言われたとおりⅢと書かれたものだけだった。
扉が開くと、そこにはかったるそうに立つ橘さんがいた。
「あ、えっと、こんにちは?」
えー、只今の時刻、11時52分。
一般的な挨拶としてはこんにちは、であってるはずなんだけど…
橘さんの雰囲気こないだと全然違くて…その、何て言うか…うん、寝起き、だよね?
「竜也は?」
と、挨拶について悶々としていると聞かれた。
…どうでもいいけど、挨拶返ってこないパターンだったのね。
悩んだ意味…。
「新見さんは…お仕事、だそうです。」
チッ使えな。と、小さい声で呟いたあと
「まぁいいや、入れ。」
そう言って橘さんは"1802"の扉を開けた。