彼女と彼らの6ヶ月の物語
「……ねぇもう忘れちゃいなよあんなクズ。」
由紀は少し悲しそうな顔をして言った。
「あの人はもう関係ないよ。わたし自身の問題なの。」
由紀が心配しないようにそう答えた。
あんなクズ=あの人=元カレなんだけど……
話は約1年前にさかのぼる。
先輩にヤツを紹介されたの。それからヤツはストーカーばりに付きまとってきて告白とかを繰り返してきた。
そんなに真剣に思ってくれてるなら―――って思ったあたしが折れて付き合い始めた。
付き合ってすぐは本当に大切にしてくれたと思う。
だけどヤツは1ヶ月もたたないうちに、男女の交わりを執拗に求めてくるようになった。
"初めて"は心から好きな人と。なんて夢見がちなことを考えていたから彼を拒み続けた。
そして、事件は起こった。
ヤツは1ヶ月ほど断り続けたわたしを廃ビルに呼んだ。
わたしだってそこまで馬鹿じゃないから警戒した。
いつでも味方してくれる由紀とお兄ちゃんに、そこに行くことを伝え、あの場所に向かった。
ヤツだけだったらわたしでもなんとかできると思ったのに、そこにいたのはヤツだけじゃなかった。
頭の色がカラフルすぎて目がおかしくなりそう。
3人の男たちに囲まれいわゆるレイプってやつを"されそうに"なった。
……未遂で終わったのだ。
その時のことはあまり覚えていない。
ただ無我夢中になって捕まれた腕を振りほどき、わたしが唯一強くなれる道具となる"棒"を探し、ヤツら3人と戦い続けた。