例えば星をつかめるとして
深い藍色の瞳を沈ませて、小さく呟く。思わず、どきりとした。言葉と、私から少し距離を置くような立ち位置に、彼が何をしようとしているか、わかったから。
私は、何も知らない。彼の欠片がどのくらい残っていて、あといくつ拾ったら、叶多が地球から去ってしまうのか。もしかして、この欠片が、最後ではないのか。
けれど止める術を、私は持っていなかった。ただ、固唾を飲んで見守ることしか、出来なかった。
そのまま、叶多は手のひらに欠片を乗せる。これまでにも何度か見た青い光が出る。
次第にそれは広がって、彼全体を包み込んだ。
そして唐突に、光は霧散した。叶多の手から欠片が消えて、けれどそれ以外は変わらない姿でそこにいた。ひどく、ほっとした。
「……良かった。まだ、君と過ごせるみたいだ」
ぽつり、呟く彼に、胸がきゅっと締め付けられる。
なんで、なんでこの人は、そんなふうに思っているのに欠片を集めることをやめないのだろう。元に戻って、宇宙に帰って、また、一人になって、そうして、恒星の爆発に巻き込まれて消えてしまうのに。
叶多の欠片に含まれる物質が地球に無いものだから、その理由だけで、この人はどうして、自分の望みを諦めてしまうのだろう。