例えば星をつかめるとして
「……そんな顔をしないで、澄佳」
眉を下げた叶多が、困ったように言う。そんな顔、とは、どんな顔だろう。私は、どんな顔をしているのだろう。
「大丈夫。君や地球に悪いことには絶対しないから。そのためにも、早く集めないと」
──そういうことじゃ、ないのに。
安心させるようにそう言う叶多に、叫びたい。私が嫌なのは、叶多が一人で消えてしまうことなのに。
「……欠片を、集め終わったら、その時がさよならだね」
叶多の表情は、笑っているのに儚い。目にするのが、苦しい。直視することが、出来ない。
欠片を、集め終わって……それでも、地球に居続ける事は、出来ないのだろうか。
ふと、そんなことを思った。けれどどうしても、それを言う事は出来なかった。叶多自身が、それは無理だ、と言っているのだから、きっと、無理なのだろう。私が無責任なことを言ったら、きっと、苦しむのは叶多の方だ。