例えば星をつかめるとして
顔を上げて、光の方向に視線を向けて、そして我が目を疑った。
先程まで手にしていた銀色の物体が、青い光を発しながら、風船が膨らむように、ゆっくりと形を変えていた。
これ、は、なんなんだ。何を見ているんだ。
金縛りにあったかのように動けない私の目の前で、膨張は止まらない。
「……!」
﹅﹅
それが人の形に近付いていると気付いたとき、私は息を呑んだ。
縦に細長い胴体、そこから伸びる二本の足と腕、そして、今ゆっくりと膨らんでいるのは……頭。
宇宙人。
私の頭に、その三文字が浮かぶ。
──これ、やばいやつだ。逃げよう。
そう、結論を出すと同時、私はなるべく音をたてないように後ろに足を出す。
目線は、未だ青い光を発しながら変化を続ける宇宙人らしきものに向けられたまま。
だから──忘れていたのだ。
東屋があるのは広場の端、そして、斜面とを隔てる柵はちょうど壊れていることを。
「わっ……!?」
踵が空をきった瞬間、私の口から悲鳴が漏れた。
重心が、がくりと後ろに傾く。まずい、と思った。
落ちる。
視界に青空が映った時、私は迫る衝撃と痛みを覚悟して目を閉じた。