例えば星をつかめるとして
自分で思っていたよりも、いささかぶっきらぼうな声が出た。しまった、と思ったけれど、真理は特に気にした風はなかった。
「そっか! 大丈夫だよ」
笑顔で大きく頷く真理に、何かお礼か謝りか、返そうとして、けれどその瞬間、試験官の確認が終わったらしい。
「確認が終わりました。受験生の皆さんは帰宅してください」
私が口を開くより早く、マイクを通して指示が出される。私と真理の間の人たちも一斉に立ち上がり、会話はそこで途切れた。
多くの人が一斉に出口へと向かい、通路がごった返している。私のようにまだ座っている人の数はまばらだったけれど、だからと言って同じようにさっさと立ち上がる気にはなれなかった。そうこうしているうちに、もう、少し前まで話していた真理の姿は見えない。
のろのろと筆記用具をしまい、配られた解答冊子を手に取る。さして厚くはないはずなのに、妙に手に重かった。
──自己採点、したくないな。
そんなことを、思わず考えた。どうせするんだから、こんなこと思ってたって無意味なのに。
私は溜息を一つこぼして、それをしまいこむ。その時のことだった。
「帰ろっか、澄佳」
唐突に、真後ろからかかった声に、心臓が止まるかと思った。
「……か、なた」