例えば星をつかめるとして
「気に入った?」
そう問うてみると、ぶんぶんと大きく頷いてくれる。
「宇宙のどこでも、こんな景色見たことないよ!綺麗だなあ……!!」
その様子に、思わず私も嬉しくなる。常夜の宇宙でずっと漂っていた叶多が、この夜空をこんなにも気にいってくれている。それが、素直に嬉しい。
「僕、この星のこと、好きだよ!」
叶多の言葉は、魔法のようだ。私の心にすっと入ってきて、私まで、同じ気持ちになる。今まで、自分を取り囲むこの環境なんてどうでも良かったのに、叶多が好きというその全てが、私にとっても特別なものになる。
花火に彩られる夜空も、少し生ぬるい夜風も、煩わしいはずの喧騒も、その、全てを。
道を歩く人の邪魔にならないように少しだけ端に移動して、私たちはそのまま、二人だけで花火を見続けた。
* *
「あっ、澄ちゃんいたー」
花火が終わって、人波に身を任せて駅までの道を戻っていると、後ろから声がかかる。
振り向くと、真理たち何人かの姿が見えた。
「良かったー、澄ちゃんたちとはぐれちゃったねって話してたんだけど……あれ、もしかして、そういうこと?」
近づいてきた、同じクラスの子が私と叶多の繋がれたままの手を見て怪訝そうに首を捻る。こ、これは、何か勘違いされていないか。