例えば星をつかめるとして
「あ……そ、そう、なん、だ」
どうしても、言葉が詰まる。叶多は構わずに、続けた。
「うん。実は、君を巻き込んだら危険そうなところには、一人で行ってたりしてね。昨日、ある工場の屋根に落ちた欠片を拾いに行ったら、それが、最後だったんだ」
「……」
言葉が、うまく見つからない。
最後の欠片を見つけたらどうなるか、叶多が言っていたことを思い出す。
別れの時を急激に意識してしまって、頭の中が真っ白になった。
「まだ人間の姿を保てているから、今すぐ帰るということはないよ」
私の顔を見て何が言いたいのか悟ったのか、叶多はそう言った。気休めかもしれないけれど、でもやはり、ほっとした。
「……行く、時は、知らせて」
なんとかそれだけ、絞り出す。もっと他に言う事、あるはずなのに。
叶多は言葉を返さずに、小さく微笑んで頷いた。胸の奥がツンと痛んだ。
* *
花火高いの日から、三日ほどたった。
すぐにでも去るのかと思っていた叶多は次の日何事も無かったかのように講習へ来ていたし、勿論いつ地球を出る、と伝達が出ることもなかった。
もしかして、実は欠片が揃っても、平気なのでは? 楽天的だとわかっていても、思わずそんなような考えが鎌首をもたげ始めた、そんな日の夜のことだった。