例えば星をつかめるとして
僕が初めて君に会ったとき、君は崖から落ちそうになっていたんだよね。あの時は人間の身体を得たばかりでよくわかってなかったんだけど、反射的に君を助けに動いてたんだ。僕は崖から落ちてもなんともないから、危ないとかっていう感覚は、浮かばないはずなのに。
なんでなのか、はっきりとはわからないんだけど、僕は運命だったから、とか良いなって思ってる。僕が君の学校の一員ってことになってたのも、君の隣の席だったことも、全部そう考えると自然だと思わない?
それから、君と過ごし始めて。人間についての知識はあるけれど、色んなことを知らない僕に、君は沢山のことを教えてくれたね。一日三食食べることとか、君が教えてくれなきゃ倒れてたかもな。
それから、空も飛んだよね。澄佳、あの時飛んでてもペダル漕ぐのを辞めてなかったよね。あれは、落ちそうで怖かったからなの? 言ったら怒られそうだから言わなかったけど、あれはちょっと可愛いと思ったよ。
君と一緒に、沢山のこの星の景色を見た。どれもとても綺麗で、同時に、君はこんな素敵なところで育ったんだと感動したんだ。この星を大切にしたい、守りたいと思ったのは、君を育ててくれた場所だからだよ。