例えば星をつかめるとして

「好き、なんて、こんなとこに書かないでちゃんと言って欲しかった!私にだって、好きって言わせて欲しかった!……好きだよ!びっくりしたでしょ!? 驚いたなら戻ってきてよ!」

言ってること、めちゃくちゃだ。それでも、良い。めちゃくちゃな気持ちごと、叶多に届けたい。

「叶多のこと、山本さんたちも覚えてたよ!また会いたいって言ってた!叶多、自分は地球生まれじゃないからって思ってるみたいだけど、ここに、ちゃんとあんたの居場所はある!」

地球がもしも、叶多という存在を完璧に消し去りたいのであれば、手紙だって届かないはずだ。私の記憶だって、すぐに消えてしまうはずだ。ううん、そもそも、叶多が人間になるなんてことも、させなかったはずだ。学校やこの町に居場所を作ったのも、叶多の電磁波とか宇宙人パワーとか関係なしに、叶多を人間として迎え入れた地球の意思のようなものではないのだろうか。この星は、叶多のことを、歓迎していたのではないか。叶多の言葉を借りるなら、この星は叶多のことを、愛していたのではないのだろうか。私には、そう思えてならなかった。
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