例えば星をつかめるとして

「だから、絶対、戻って来てよね!私、ずっと、待ってるから!」

星空に、宣言する。

その、時だった。

「……え……!?」

北の空、叶多のいる方角。私がまっすぐ見守るその空のパレットに、明るい光の線が、描かれる。

たった、一瞬だけ。けれど確かに、目の前を流れた、『願いを叶える星』。

「う、そ……!」

自分の目が信じられない。でも、あれは確かに、流れ星、だ。

──こんな、タイミング。まるで、私の願いを、聞き届けたと言うように。

叶多と星を見たあの日、気まぐれに流れた星を目にした叶多は、『君の願いはきっと叶う』とはしゃいでいた。今のはまるで、あの日のようで。

そうだ、きっとあの願いだって、叶っている。あの夜はきっと、叶多と私を繋いでいる。もしかしたら叶多は、彼の手紙にあったように、宇宙へ帰る時に人間の身体と一緒に記憶も捨てているかもしれない。それでも、私と叶多は繋がっていると信じた。繋がっているから、大丈夫、きっと、また会える。

私は遥か彼方、叶多がいるであろう星空を見上げる。そうして、改めて、自分自身に誓った。



──他の誰が忘れてしまっても、私が叶多を、ずっと待とう。

叶多が好きだと言った、美しい地球で、私は叶多を、ずっと、待ち続ける──。

< 197 / 211 >

この作品をシェア

pagetop