例えば星をつかめるとして
『この隕石の不可解なところは、落ちた様子がどこにも残っていないところです。一般的に隕石は、地球の大気とぶつかって燃え上がりながら落下します。夜に隕石が落ちる時は各地で火球が観測されたり、昼間のように空が明るくなったりという事例もあります。そして、落ちてくる轟音が聴こえるはずなのです。ところが、今回はそれがなかった。気象庁の定点カメラにも映っていない。誰も隕石を見ていないのに、一瞬でクレーターは出現した。確かに隕石は降っているのです』

『教授はどうお考えですか?』

『降ってきたのが太陽系小惑星のような岩石ではなく、もっと別の物質なのではないかと考えております。いずれにせよ、日本にあのサイズの隕石が降るのは非常に珍しい。宇宙の謎解明のために、多くの専門家が調査に乗り出すでしょう』

テレビでは相変わらずどこかの教授が見解を述べている。私は頭半分位でそれを聞き流していた。

『この隕石による影響はあるのでしょうか?』

『墜落した隕石から電磁波が発生しております。そのため、三原山近くの一部の地域で、計器や通信機器の調子が狂ってしまう事例が報告されています。また……』

教授がそこまで言ったところで、ザザザっと音をたてて音声が乱れる。ぎょっとしてテレビを見つめると映像までが歪み始め、数秒砂嵐状態になってしまった。

「嘘でしょ……」

少し経つと元に戻り、何事も無かったかのように映像が流れている。アナウンサーからの謝罪がないところをみると、テレビ局のミスではないだろう。ということは、こちらの……というより、さっき言っていた電磁波とやらの影響なのだろうか。
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