例えば星をつかめるとして
「君の家の近所なら、一緒に学校まで行けるしね。何か困ったら君のところまで飛んでいけばいいんだ」

「……それは、ほどほどにしてほしいけど」

肩の荷が降りた、というのだろうか。嬉しそうな、けれどほっとした表情の星野は、おもむろに立ち上がると私の手をつかむ。

「ん?」

「ということで、早速欠片を回収しに行こう!」



* *



どんな山奥に連れていかれるのかと内心ヒヤヒヤしていたのだが、欠片があるというのはなんと、星野の家の屋根の上だった。

「ちょっと待って、窓からよじ登るつもりなの?」

私をひっつかんだまま二階に上がって、おもむろに窓を開けた星野に私は問う。

「大丈夫だよ、落ちないから」

「いや、梯子使って登った方がいいと思うけど」

「松澤さん、僕がどこから来たのか覚えてる? そう落ちないから平気だよ」

自信たっぷりにそう言って、星野は窓枠に足をかける。

なるほど確かに、星野は宇宙から来たんだった。そういうものかもしれない……と納得しかけて、はっとする。星野は隕石だったはず。つい一昨日の夜、思いっきり星見峠に墜落してたよね!?
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