例えば星をつかめるとして
「これ、頂上で……」
「そう。松澤さんが見たのと同じ。僕だよ」
頷いた星野が石ころを触る。すると一層強く光を発しながら、『それ』は星野に吸い込まれていく。
以前の私なら、というか普通なら、叫び出してもおかしくないような異様な光景だろう。けれど私はそれが、綺麗だと思った。
──宇宙みたいな色だ。
光を見つめながら、私はそんな感想を抱く。昨日も見た青い光は、星野の瞳と同じような吸い込まれそうな色をしていて、けれどまるで星空のように光って。
……やがて、光は消えた。石ころも星野の手からなくなっている。吸い込まれた、のだろう。
「……ふう。少しだけど力が戻ってきた気がする」
「そういうものなの?」
満足げな星野に問いかける。彼は大きく頷いた。
「もちろん。今のままじゃ宇宙どころか空にも行けないけど、全部揃ったらまた宇宙へ飛び出せるようになるんだよ」
どこか誇らしげな星野の表情が可笑しい。自分の功績を自慢する子供のそれに、よく似ていた。宇宙にも飛び出せるようになるとはにわかに信じ難かったけれど、きっとそうなのだろう。