例えば星をつかめるとして
「本当は、墜落もしないはずだったんだよ。ある程度なら軌道も調整できるはずなんだけど、地球に大気があるのが予想外でね。空気抵抗に耐えられなくて、この街の上空で分解しちゃったんだ。核部分の僕が星見峠に墜落して、他は散らばってたんだけど、ここの屋根にも飛んでたんだね」
だからこの家が僕の家になったのかも、と星野は呟く。
「じゃあ今星野は、さっきよりパワーアップしてるってこと?」
「そういうこと。ここに登るのも松澤さんを引っ張った時も浮いてたし、量子のこととか感じられるようになったのもそうだよ。欠片が近くにあるだけでも少しはましになるからね」
ふうん、と私は相槌を打った。ということは、欠片を集め続ければ空も飛べるようになるのか。浮く、の方が正しいかもしれないけど。