例えば星をつかめるとして
これだけの騒ぎだし、間違いなく遅延はきくだろう。ただ、なんとなく、学校に行く気がなくなってしまった。
この人ごみだ。復旧してどのくらい混むのかは容易に想像がつく。そもそももう少し先というのはどのくらい先なのか。電磁波が原因なのにそう簡単に復旧出来るのか。
もちろんそんな理由だけで学校をさぼるのは、と言い出したらきりはないけれど、でも、なんか、こう。
『こういうニュースがあると入試で聞かれそうね』
数十分前に言われた言葉が蘇る。
それと同時、鞄の中に眠る一枚の紙切れの存在を思い出して、憂鬱な気分が加速した。学校に行く気が起きない理由は、これもあるのだろうか。
肩にかける鞄が無性にとても重く感じて、小さくため息をついた。
──どこかに、エスケープしちゃおうかな。
ちらと浮かんだその考えは、たまたま停車したバスが見えたのがきっかけなのか、それとも私の願望だったのかはわからない。
ちょうど目に入ったバスの行き先は、話題の場所三原山……にほど近い場所。
隕石の墜落現場に用のある人たちはこのバスが向かうことを知らないのか、それとも車で既に向かっているのか、バスの車内は意外なほど空いていた。
──そうだ、噂の隕石とやらを、見に行ってやろうじゃないか。