例えば星をつかめるとして
ちらりと星野の横顔を覗き込む。指通りの良さそうな髪に、すっと通った鼻梁。深い色を宿す瞳は手元に下ろされていて、表情に不満の色はない。
……真理が昨日"イケメン"と言っていたけれど、確かに整った顔立ちだとは思う。
『もしかして星野くんに見惚れてた?』
先ほど真理に言われた言葉が頭の中で響いて、はっと視線を戻した。いかんいかん、星野がやってくれてるのに、私がさぼってどうするんだ。
何を、考えようとしていたんだろう。星野は、宇宙人なのに。
いや、宇宙人であることを否定してるわけじゃなくて、差別してるわけでもなくて、でもなんか、それ以前の問題があるような気がして、あれ、何考えてるのかわからなくなってきた。
「松澤さん、こっちは出来たよ。まとめようか」
「!……う、うん」
そんな時に星野が声をかけてきて、私は思わずびくりと肩を強ばらせてしまう。
「ん? どうかした?」
不思議そうな表情を浮かべる星野に、私は慌てて首を振った。