涙ーありがとうを君にー
夜も更け、
東の空が白み始めた頃、
門が開く。
そこには、脇腹に傷をこしらえた懍がいた。
二人は屋根から飛び降り、駆け寄る。
「「大丈夫ですかっ!?」」
「まあな…
あえて言うなら、
肩を貸してくれると助かる」
顔色ひとつ変えずに言う。
二人は慌てて両脇に入り肩を貸す。
急いで家の中に運び入れ、手当てをする。
「俺、母様達呼んでくる」
「うん、お願い」
懍に意識はなかったが、
命の危機にはならなそうだ…
手当ても半ばまできた頃、湖咲が戻ってきた。