涙ーありがとうを君にー
「父様は滋行様達と藤宮の居間に、
母様と優花様は布団と薬湯を用意してる」
湖咲の言葉にただ
「そう」
と、頷いた。
話しながらも手当ては進んでいき、
やがて包帯を巻き終える。
「じゃあ、
寝室に運ぶか…
瑞穂は脚ね、
俺が上もつから」
「了解。
じゃ、行くよ。
いち、にのっ、さんっ」
懍を持ち上げ危なげなく運ぶ。
生業上、
重さは問題ないのだがなんせ、
相手は男の大人ででかい。
よって、
一人で抱えることはできないのだ。