涙ーありがとうを君にー
懍を寝室まで運ぶと、
すでに用意を済ませた、
優花と希衣がいた。
「「懍っ!!」」
二人の声が重なる。
「母様、希衣様、
父様は血を流し過ぎて貧血になり気を失っているだけです。
命に別状はありません」
瑞穂が努めて静かに伝える。
その言葉に安堵の色をみせる二人。
「優花、私達は母様達のところにいるから、
何かあったら知らせて」
「わかった」
希衣と優花の言葉を静かに聞く瑞穂と湖咲だった。
「さて、
湖咲、瑞穂。
母様達のところに行くよ。
琥珀と瑠璃も呼ばれるでしょうね…」
希衣の言葉に頷き、
三人は藤宮の居間に向かった。