涙ーありがとうを君にー
2・兄と姉
重い空気を破ったのは傷をおって眠っているはずの懍だった。
「…あの〜、私も話しの仲間に入れてもらえますか?」
皆が一斉に声のするほうをむく。
「なんで…起きてるんだ…?」
霄がボソッと呟く。
「ひどいなぁ…
人が折角、
痛いのに起きてるのに…」
懍が大袈裟に落ち込む仕種をする。
溜息がひとつ漏れたあと、
「懍と霄、
お前達が仲の良い事は昔から知っているから。
そろそろ、
本題に入ろうか…」
湖咲と瑞穂は目を見開いて茫然としていた。
「あら、瑞穂と湖咲。
そんな顔してどうしたのです?」
峰子が不思議そうな顔をする。
「…い、いえ。
いつも、無理難題吹っ掛けてくる人達が普通の親みたいな事言うので…
驚いて…」
瑞穂が口早に答える。
湖咲に至っては、
思考停止したままのようだ。