涙ーありがとうを君にー



湖咲と瑞穂はこれといった障害もなく学校まで着いた。

が、歩を止める。

急いで琥珀にTELをする。

「もしもし、兄様?」

『琥珀じゃなくて私』

「姉様!!!

あの、囲まれました。

そっちはどうですか?」

『こっちも囲まれた。

今琥珀が着替えてるの、
藤色でしょう?

まあ、私はもう着替えちゃったからあんま関係ないけど』

「はい。藤です。

じゃあ、
兄様が着替え終わったら桜の木で予定通り落ち合いましょう」

『わかった。

琥珀着替え終わったから今から桜の木行くね。

無理だと思うけど怪我は少なめにしたいね』

「はい」

『じゃあね』


電話を切るとさっきよりも口早に説明して校舎に乗り込む。

中に入るととても静かだった。

「静かすぎだな」

「ほんと。急ごうか」

二人は走りだした。
桜の木の下には琥珀と瑠璃の姿が見える。
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