涙ーありがとうを君にー
−瑞穂&琥珀−
「ここらでいっか。
瑞穂、どっちが先に片付けるか競争ね。
じゃあ、よ〜いどん!!!」
校庭につくと琥珀が口を開く。
「うぇ〜。
決定事項なの〜?
はぁ、仕様がないなあ」
瑞穂はなんだかんだ言っても剣に手をかける。
一人、二人と倒していくと琥珀が一人の黒装束に脇腹を斬られる。
膝を就く琥珀。
瑞穂は今切り合っている者を蹴散らし琥珀の元に駆け寄り背に庇いながら、
向かってくる者達を斬っていく。
…どれほどたっただろうか。
黒装束の者達を全員切り倒すと、
瑞穂は琥珀に向かい直り傷の具合を診る。
「大丈夫!?
とりあえず、
止血だけしとくね?」
瑞穂は心配そうに顔を覗き込む。
止血を終えると、
「さんきゅ。
大丈夫だよ、
んな、泣きそうな顔すんなよ〜」
と、青い顔で笑って見せる。
「やせ我慢ばっかりして〜
瑠璃に言い付けるよ?」
と、瑞穂は頬を膨らせる。
「それは困る。
あいつ、
ちょっと無茶しただけで、三日も口聞いてくんないんだぜ?」
渋い顔をする。
琥珀に肩を貸し、
端にある柳の幹にもたれさせると、
瑞穂は自分の懐から扇を取り出した。
「あっつ〜、
全く何が楽しくて、
こんなことしてんだろ…」
瑞穂は呟いた、
誰の耳にも入る事のない大きさで…