涙ーありがとうを君にー
第三章 交える刃
滋行は配下を使い、
黒装束の者達を調べていた。
「瑞穂をたたき起こしてこい。ついでに、琥珀も連れてこい」
滋行が言うと、
『御意』
声だけが残った。
−10分後−
瑞穂は藍色の着物に白い打掛を纏い現れた。
さらにその5分後琥珀が鳶色の着物に黒の打掛を羽織り現れた。
「………琥珀、瑞穂。
体は大丈夫か?」
滋行が口を開く。
「「問題ありません」」
琥珀と瑞穂は答えるが、
あまり大丈夫に見えない。
「そうか…
黒装束の者達についてなのだが、
どうも我ら藤宮を狙っているようだ。
特に、瑞穂。
おまえに的を絞っているようだ。
何か心当たりはないか?」
滋行が難しい顔で問う。
「いえ…申し訳ありません」
瑞穂が謝る。
「いや。
琥珀、おまえに傷を与えた者に特徴はあったか?
その者のみ、あの場にみつからなかったのだ…」