涙ーありがとうを君にー
「・・・・・・・。
瑞穂・・・?」
滋行が固まった。
そして、瑞穂の額に手を当てる。
「お前、熱上がってるのでは・・・?」
「・・・おじいしゃま?
ねえねえ抱っこは〜?」
瑞穂は滋行の袂を引っ張る。
滋行は苦笑を浮かべながら、
手をひろげる。
「おいで?
久しぶりに御祖父様が抱っこをしてあげよう」
そういうと、瑞穂はぱぁと笑顔になる。
そして、むぎゅうと滋行に抱きつく。
「やったぁ。
おじいしゃま好きぃ」
そう呟くとこてっと、
眠ってしまった。
「・・・寝てしまったのか・・・?
変わっとらんなぁ・・・」
優しい笑みを浮かべると、
瑞穂を抱きかかえて立ち上がり歩き出す。
その姿は、
とても70を超えているとは思えない。
『代わりましょうか?』
滋行に付き従っている結城(ゆうき)が声をかける。
先程瑞穂や琥珀を起しに行ったのもこの結城だ。
結城は、大抵滋行のもとにいる。
「・・・いや、大丈夫だ。
お前は、凛たち四人を藤宮の居間へ集めておけ」
『畏まりました』