私は暇じゃない
「こんにちは」
おしゃれなカフェは、メイン通りから外れた穴場のようなところにある。
主張しすぎず、かといっておしゃれ過ぎて入りにくいというわけではない。場所が場所なので、メイン通りにあるカフェなんかに比べるとお客は少なく、入りやすいお店だった。
私はこのお店を知らなかったが、後に知ることになってからというものの、下見のために何度かきたことがある。もちろんこの二人は知らない。
木目調のテーブルには、料理。
私から見て右側には甘さ控えめのパンケーキ。左側には甘そうなトッピングのパンケーキがあり、フォークを持ったまま固まっている。私の挨拶には二人とも返せない。
「ここのパンケーキ、美味しいでしょう。私もつい最近知ったけど、智治は来たことがあったんだね」
智治の目が泳いだ。
何といってくるのか、待つ。
「みちる、あのね…智治君とはたまたま会って、時間あるからカフェ入らないってなったの。ね?」
「そう。たまたまばったり会ってさ」