恋人はご主人様
しかしその代わりに人の暖かみを知らなかった。
優しい家族も勉強のことには容赦がなく
自分に向けられる笑顔も裏があるものばかり。
そんな人生に失望しているときに、樹乃と出逢った。
話をかけられて、コイツもか、と冷めていた自分。
そんな自分に向けられたのは、純粋な笑顔と純粋な心だった。
樹乃は知れば知るほどヘタレで、情けなかった。
どんな要求にも応じる面、彼には犬しか見えていない。
そんな彼を好きになったのは、当然のことだった―…。